新型コロナウイルスのパンデミック以前は、スマートフォンがどのくらい清潔なのかなどあまり気にしていなかったかもしれない。しかし、ウイルスの感染拡大に関する懸念がみんなの心の中心を占めている今、実際に自分のスマートフォンはどのくらい清潔なのか、疑問に思っているのではないだろうか。
そこで専門家と話して、携帯には有害な細菌やウイルスがどの程度潜んでいるのか、そしてダメージを与えず安全に除菌するにはどうすればいいのか、探ってみた。
スマホにはウイルスや細菌が付着している？
残念ながら、スマートフォンの表面にはウイルスも細菌も付着する。そして実は、細菌に関しては感染の大きな元凶にもなっている。
「スマートフォンは細菌を付着させる最悪の犯人のひとつです。おそらく私たちの持ち物の中で最も頻繁に触れるアイテムですからね」と、明かすのは、細菌の専門家で表面除菌剤ブランドZoonoの社長、ジェームズ・ミルンズ（James Milnes）だ。「平均的なスマートフォンにどのくらい細菌がつくのか実験したところ、ショッキングな結果が出ました。ATPデバイスを使って携帯表面の清浄度をモニターできるのですが、表面に病気の原因になる細菌やウイルス、その他の微生物がついている値をATPが評価します」
「数値が100以下なら安全。300以上であれば汚染された状態、500以上は非常に汚染されていることになります。私たちの調査では、定期的に清潔にしていない携帯のほとんどは500〜600でした」
そのうえ、女性の携帯のほうが清浄度が劣る傾向にある。
「興味深いことに、女性のスマートフォンのほうが男性のものよりずっと汚染されているのです。これは、女性はメイクアップしていることが多く、それが手や顔からスマートフォンの表面に移ることにより病原菌を付着させると考えられます」と、ミルンズは言う。
スマホの表面で細菌はどのくらい生き延びる？
ミルンズによると、それは病原体の種類や、スマートフォンを置いておく環境によって異なるという。
「例えば、スマートフォンを後ろポケットに入れておくと、窓辺に置いておくより微生物は長生きします。これは、UV（紫外線）が広範な病原菌を殺菌するのに効果的だからです」
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スマートフォンを清潔にするため、UVを使った除菌グッズが市場に多く出ている。例えば、Casetify のUVサニタイザー（UV Sanitiser）は、3分間で細菌の99％を除去し（研究室でのテストで科学的に証明されていると言っている）、鍵やサングラス、チャージャーのケーブルなど小さな家庭用アイテムにも使えるという。
新型コロナウイルスとスマートフォン
では、新型コロナウイルスは生き延びるのだろうか。そしてスマートフォンを通して感染するのだろうか？ 体内から出たウイルスが、どの程度生き延びるのかについてはさらなる研究が必要だ。
「新型コロナウイルス感染症（COVID-19）は呼吸器官の病気で、基本的には感染者が咳やくしゃみをした際の飛沫、あるいは唾液や鼻からの分泌物を介して感染します」と、コンピューター科学者でHandsetExpertの創業者シャーラム・ギラーニ（Shahrum Gilani）は言う。「こうした粒子が他の人や衣服、その周囲の表面にも付きます」
「新型コロナウイルスの空気感染のケースは報告されていませんが、SARSやMARSなど既知のコロナウイルスの研究では、スマートフォンに使われているような金属やガラス、あるいはプラスチックのつるんとした表面で、何の介入もなければ最長で9時間は検知されることがわかっています。とはいえ、アメリカの疾病予防管理センター（CDC）はコロナウイルスは表面ではそれほど長生きしないと言っていることや、欧州疾病予防管理センターが生存能力のあるウイルスは時間の経過とともに減少し、感染の原因となるに十分な量は必ずしも存在しないかもしれないと書いていることは言っておいたほうがいいでしょう」
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どのくらいの頻度でスマホを清潔にすればいい？
スマートフォンについては、手で触れるたびに、自分の皮膚からスマートフォンの表面に細菌を移しているのだということを覚えておくことが重要だ。
「私たちはスマートフォンを頻繁に触り、気づきも意識もしないうちに顔もしょっちゅう触っています」と、ギラーニ。「また、携帯を目や鼻、唇の近くで持つことが多いですが、そこはウイルスが人間の体に侵入するエリアです。これらすべてのことから、スマートフォンはあらゆる病気を伝染させる潜在的ルートになっていると言えるのです」
「CDCは、ウイルスが付着した表面や物に触った手で顔に触ることが感染の主要ルートではないとしている一方で、スマートフォンを定期的にクリーニングしてリスクを減らすことは理にかなっています」
スマートフォンの除菌方法
では、どうやってスマートフォンを除菌するのがベストなのだろう？
「マサチューセッツ工科大学（MIT）が2018年に、スマートフォンについた細菌を除去するさまざまな方法について研究した結果、70％のエタノールスプレー、第4級アンモニウムスプレー、次亜塩素酸ナトリウム殺菌剤を染み込ませたワイプ、デリケートなもの用のワイプ、紫外線を使った携帯殺菌ボックスなどはどれも細菌数の減少に効果的であることがわかりました」と、ギラーニ。「とは言え、何も複雑なものを使う必要はないのです。ユジバーシティー・カレッジ・ロンドン（UCL）のレナ・チリック（Lena Cilic）博士が実験の結果、昔ながらのいい石鹸と水があれば、手術用にも適したレベルまで微生物の活動が低下することがわかっています」
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つまり、スマートフォンを清潔にするもっともシンプルで効果的な方法としては、水と家庭用石鹸とマイクロファイバーのクロスが数枚あればいいということだ。
「携帯電話機器メーカーは従来、石鹸と水以外のクリーニング製品を使わないようアドバイスしてきましたが、最近ではアップルやグーグル、ファーウェイ、サムスンなどがみな、マイクロファイバーのクロスに70％のイソプロピルアルコールをつけてスクリーンや外面を拭いていいとクリーニングに関するアドバイスをアップデートしています。もしくは、70％のアルコールワイプを使うこともできます」
ギラーニは、以下のシンプルな方法がベストだと順を追って説明する。
- スマートフォンのプラグを抜き、完全にスイッチを切る。
- ケースをつけている場合は、それを外す。ケースは別に掃除。
- マイクロファイバーのクロスを石鹸水で湿らせる。
- 充電ポートなど開口部を避けるよう注意しながら、そのクロスで表面を優しくこする。
- 清潔で乾いたマイクロファイバークロスで表面を乾かす。
スマホを除菌するうえでやってはいけないこと
細菌を除去したいあまりに、もっと強力な化学製品を使いたいと思うかもしれないが、絶対にダメ。家庭用石鹸で十分に効果的で、強力な化学製品はメリットよりデメリットのほうが多くなりがちだ。
「漂白剤や、他のよくある家庭用洗浄剤を使ってもウイルスや細菌は殺菌できるかもしれませんが、スマートフォン本体にダメージを起こしかねません」と、ギラーニは警告。「ほとんどのスマートフォンには、スクリーンにシミや指紋がつかないように油分をはじくコーティングがされていますが、強力な化学製品を使うとそのコーティングを台無しにしてしまい、スクリーンを壊して、結果的にずっと残る傷がついてしまいます」
「また、充電ポートやヘッドフォン用ジャックなどの開口部に水分がつかないようにしましょう。いくら耐水性があるといっても、壊れてしまいかねません。エアダスターを使うのも避けたほうがいいですね。マイクや他のコンポーネントに誤ってダメージを起こしてしまうことがよくあります」
Translation: Mitsuko Kanno From Harper's BAZAAR UK
※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。また、日本における新型コロナウイルスに関する最新情報については厚生労働省やWHOのサイトをご確認ください。
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April 19, 2020 at 09:00AM
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