
パチンコ店は営業自粛を求められているのにすべての店が休業しないのは「なぜ」?
NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる』でのチコちゃんの「なぜ」ではないが、筆者が最近のニュースを見て疑問に感じた「なぜ」。それが冒頭の「なぜ」だ。
大阪府の吉村知事は4月24日(金)休業要請しても応じようとしないパチンコ店の名前の公表に踏み切った。
全国で初めての新型コロナウイルス対策特別措置法に基づくもものだった。
吉村知事の記者会見の様子は4月25日(土)のNHK『おはよう日本』など各番組で放送された。
大阪府の吉村知事がパチンコ店に休業を要請しているのに、応じようとしない店が今もある
大阪府は24日、改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づき、休業要請に応じないパチンコ店6店の店舗名を公表した。府による休業要請に応じないため、より強い要請が必要と判断した。同法に基づく施設名公表は全国で初めて。4月末からのゴールデンウイークでの感染拡大を警戒し、外出自粛への協力を改めて呼びかける狙いがある。東京都など他の自治体も店名の公表に踏み切る方針を表明しており、各地に広がりそうだ
知事が実名を公表しても、それでも要請に従わず営業を続けるパチンコ店が今もある
一方、営業を続ける堺市内の店では・・・。「60人から70人ぐらいはいるでしょうか。次から次へと店内へと入っていきます」(丘文奈記者リポート)。来店客は「(店が)閉まってくれていたら来なくていいんですけど、開いてるから行ってみようかなぁと」と話していました。営業を続けるパチンコ店は「従業員の生活を保障するため、休業出来ないことを理解してください」とコメントしています。府は、他にも28店舗が営業していることを把握していて、休業要請に応じない場合、店名を公表するとしています。
店名を公表されても営業を続ける業者がいる中で、パチンコ店への休業要請は東京都など他の自治体にも広がりつつある。
■パチンコ店への休業要請、近く20都道府県以上に拡大の見込み
緊急事態宣言の対象地域を全国へ拡大すると決定したことが、4月16日夜の官報号外に記載され効力が生じたことを受け、各自治体で「休業要請」をすることが続々と決定している。
当初から対象地区だった7都府県(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・大阪府・兵庫県・福岡県)と合わせて「特定警戒都道府県」に含まれた6道府県(北海道・茨城県・石川県・岐阜県・愛知県・京都府)を中心に現時点で13都府県がすでに休業要請をしており、近く休業要請を予定している、または検討中の地域を含めると、パチンコ店への休業要請は近く20都道府県を超える見込みだ。
知事たちの要請が広がっているにもかかわらず、一部のパチンコ店は従わないのはなぜなのか?
『アエラ』の記事にパチンコ店の本音が垣間見える。
「店名公表? うちは休まんと思う。お上が公表したらいい宣伝。お客様がたくさん来るんじゃないか」と、店員は言っていた。
この店は24日現在も営業を継続している。なぜ、足並みがそろわないのか。大阪府内で営業自粛要請後、数日間は店を開けていたパチンコ店のオーナーに聞くと、こんな事情を話した。
「パチンコ店は、固定経費がけっこうかかるんです。人件費とかリース代とかね。営業せんと、日銭が入ってきませんやん。世間一般的にパチンコ店はめちゃくちゃ儲かっているというイメージがあると思う。けど、10年とか前ならいざ知らず、今はそういう商売やない。1日でも営業できんと、大変なんですわ。それで無理しても営業する店があるんです。いくら国や大阪府が休業補償してくれるいうても、それじゃまかなえん。だから、強引に店を開けるんですわ」
「休業すると経営的に大変だから?」
「休業しないで店名を公表された方がいい宣伝になるから?」
筆者が知りたいのは同調圧力が強い日本社会でなぜこれらのパチンコ店が堂々と営業を続けているのかだ。
店名を公表されても平気で知事の要請に従わない店がある理由は他にあるのではないか?
知事よりも怖いものがあるけれども、そこからは要請されていないとか?
新型コロナウイルスの拡大に歯止めがかからず、少しでもリスクを減らさなければならないときに、なぜパチンコ業界だけ、パチンコ業界の一部の店だけは他の業界とは違う道を歩んでも許容されるのか。
ネットなどで情報を集められないだろうか。
パチンコ業界の本音は?
パチンコ、パチスロ業界ニュース『遊技日本』というパチンコ業界向けのサイトがある。
パチンコ業をとりまく現状についての様々なニュースが掲載されているが、そこでは「パチンコの灯を消したくない」という本音が透けてみえる文章があった。
パチンコ店、雀荘が「遊技場」とすれば、今回の「緊急事態宣言」で休業の要請や、応じない場合は「指示」があるかもしれない。もちろん、大手チェーンはともかく中小規模の店舗が一か月も休業すれば、生き残るのは至難の業だ。もし仮に何らかの形で従業員の所得補償などあったとしても、家賃や遊技機の支払い手形だけでも莫大な金額になるのは想像に難しくない。
すでに大手パチンコチェーン数社は自主的な「営業自粛」を発表している。今後、正式な「要請」や「指示」がどのような業種にどう出されるかも予断を許さない状況だ。
かつて「娯楽の殿堂」と呼ばれたパチンコの灯が消えないことを、業界の一員として切に願いたい。
パチンコ業界の本音は「娯楽の殿堂の灯を消さない」だったらしい。
パチンコ業界は新型コロナウイルスにどのように対処しているのか?
パチンコ業界の経営者や従業員向けに発行されている雑誌がある。「PiDEA」(ピデア)という月刊の業界向け雑誌だ。
パチンコ・パチスロの業界である「遊技業界」で成功した経営者の「立志伝」や最新のパチンコの機種などを紹介する記事などが載っている。
最新号(Vol.164 2020年4月号)の特集が興味深い。
「新型コロナバンデミック~パチンコ業界に降りかかる災禍」
昨年12月、中国の武漢市で最初の症例が確認されて以来、急激に拡大。感染者は全世界で100万人を超え、国内では2600人超(4月3日時点)に上った。最悪のケース、死につながる見えない恐怖に世界中がおびえ、警戒と対策を強めている。当然、パチンコ業界にも深刻な影を落としている。
この特集の「パート1」の「新型コロナ感染者の来店で2週間休業の脅威」という記事では新型コロナウイルスにおびえているパチンコ業界の姿を見ることができる。この記事が書いているのは2月、3月なので現在のように飛躍的には感染が拡大しておらず、まだ感染者一人ひとりをある程度まで追跡できていた時期だ。業界の本音も透けて見える。以下、記事から抜粋する。
関西では2月に和歌山、3月には大阪で新型コロナウイルスの感染者がホール(筆者注=パチンコ店の店舗)へ来店する事態が発生した。これは感染の拡大とともに、いつどこのホールでも起こりうる問題だ。現場を預かる店長は、保健所からの連絡が来るのではないかと緊張の日々を送っている。
新型コロナウイルスの感染が拡大する中で2月17日、パチンコ業界に激震が走った。和歌山県湯浅町の済生会病院で陽性が判明した感染者の1人が和歌山県有田市の「123ライト有田店」へ立ち寄っていたことが分かった。同ホールにはホームページ上で経緯を公表するとともに、2月18日から臨時休業に入り、店内の消毒ならびに従業員のウイルス検査を実施した。2月22日には、従業員の検査結果がすべて陰性だと判明し、2月23日から営業を再開している。
記事にある通り、同店のホームページを探すと感染についての記述が見つかった。
お客様・お取引先各位
123ライト有田店では、来店されたお客様がコロナウイルスに感染されていたことから、
2月17日(月)午後5時に閉店し休業をしておりましたが、
和歌山県から22日(土)に従業員全員の検査結果が陰性であったとの連絡を頂き、
店内の消毒作業を終えて、23日(日)から営業を再開しております。
今後もお客様の安全を第一に営業を行って参りますので、皆様のご来店をお待ち申し上げております。
『PiDEA』の記事はさらに続く。
一安心したのもつかの間、3月6日には大阪府堺市北区の「ザ・チャンス8新金岡」でも、保健所からの知らせで新型コロナウイルスの感染者がホールへ来店していたことが発覚した。同様に翌7日から臨時休業に入り、店内の消毒作業を行った。
感染者が来店した2月29日15時から21時までに出勤していた社員・アルバイト14名は自宅待機で経過観察に入った。早番と遅番が交代する時間帯だったこともあり、対象者が増えた。従業員は毎朝検温して保健所に報告することが義務付けられている。この間、体調不良を訴える者は1人も出てこなかった。感染者が来店した2月29日を起点に、2週間が経過した3月13日から営業を再開した。
新型コロナウイルス感染におけるパチンコ店側の苦境が記されている。
「いつ保健所から連絡が来るのか、というロシアンルーレット的な不安があります。知らない番号から着信があるとドキッとします。それでなくても、低貸しコーナーのお年寄りのお客さんが感染を警戒して来店しなくなり、売り上げは2割減です。ウチは中小ホールなので2週間も休業したら資金がショートしかねません」と話すのは大阪市内のホール店長だ。
全国のホールに先駆けて発覚した2例。現場の店長は毎日が緊張の連続だ。感染が拡大すれば、いつ、どのホールでも起こりうる。従業員の感染は毎日の健康チェックである程度防げるが、感染者の来店は防ぎようがない。
この記事では感染者がパチンコ店に立ち寄った事実は、クラスター感染の立ち寄り調査から発覚したという。
「123」の場合は済生会病院、「ザ・チャンス8」の場合は大阪市都島区のライブハウス「アーク」や大阪市北区天満の「ソープ・オペラ・クラシックス・ウメダ」でクラスター感染が起こり、足取り調査の結果、ホールへ立ち寄っていたことが判明した。
だが、こうした足取り調査にはどうしても限界があるという。
足取り調査は自己申告なので「覚えていない」と名前が挙がらなかったホールはセーフとなる。
この文章には新型コロナウイルスによる営業の自粛がパチンコ業界に大きな打撃を与えると再三にわたって記している。
「それでなくとも4月からの全面禁煙化で稼働が下がることが予想さるだけにコロナと禁煙のダブルパンチで頭が痛いです」(大阪府内のホール関係者)
「パチンコは営業自粛せよ」という世の中の空気感だけは避けたい。
もちろんビジネスをする側が少しでも店を稼働させて売り上げを残したいという気持ちは理解できる。
だが、現在は小売業も飲食業も少しでも感染リスクがある店などの場所は営業しないように行政が自粛を求めている段階だ。
休業させられたら経営的に苦しくなるのはどの業種も変わりない。
むしろ、現在のように自粛が広がっている状態でもパチンコ店の前に行列ができるからと確信犯的に営業を続けていくることは、パチンコ業界への不信感を増大させてしまうのではないか。国中で協力し合って、我慢すべきときにパチンコ業界だけが自分勝手な行動をとる。パチンコの依存症の人たちを搾取して利益をむさぼる“悪徳ビジネス”だと言わざる得ない。
依存症の問題については大阪の吉村知事もパチンコについてはカジノなどのIRと比べても、依存症対策が不十分だと問題視している。
吉村府知事はツイッター内で「府内のパチンコ店約700店、休業要請後に府民から苦情があった店舗117店、電話等で休業に応じてもらえず最後文書通告が11店(手続中28店)、通告後公表前休業が5店、公表後休業が2店、公表後も営業が4店」と報告。「ここで感染が広がっても、医療従事者や行政は命を救う為に活動する」と、要請に応じないパチンコ店で新型コロナウイルス感染が広がると医療従事者に負担がかかるとした。
また、次のツイートで「緊急事態宣言下、行政の呼びかけも関係なくパチンコ店に押しかける。一律10万円配っても一緒。パチンコの依存症問題に正面から取り組むべき。国はパチンコをギャンブルと認めず、何らの規制もない。依存症対策も正面から論じてこなかった」と、国政に対しチクリ。「IRは入場制限や依存症対策を様々とる。パチンコもやるべきだ」と持論を展開した。
吉村知事がパチンコの依存症の問題への取り組みで「国」を強調したのは象徴的だ。
緊急事態宣言を受けて各知事が休業要請などをしても、平気な顔をして従わないパチンコ店の存在。
その背景にパチンコに依存する人たちが大勢いるせいではないかという知事の見立ては正しいと思う。
だが、国も何もやっていないわけではない。国(警察庁)はパチンコ業界に対して、パチンコへの依存症を防止するための活動を進めるよう指導している。
パチンコ業界についての情報をまとめた「遊技通信Web」には警察庁の課長がパチンコの業界団体である日本遊技関連事業協会(日遊協)で講演した内容が記録されている。
最初に、ぱちんこへの依存防止対策についてお話しします。
ぱちんこを含むギャンブル等への依存問題については、ギャンブル等依存症対策基本法が昨年10月に施行され、本年4月には基本法に基づきギャンブル等依存症対策推進基本計画が閣議決定されました。
この基本法においては、ギャンブル等依存症対策に係る国、地方公共団体、そしてぱちんこ営業者を含む関係事業者等の責務が明らかにされたところであり、関係事業者がその事業活動を行うに当たっては、ギャンブル等依存症の発症、進行及び再発の防止に配慮するよう努めなければならないとされたところであります。
警察庁の課長はその上で具体的に取り組むべき点についてパチンコ業界に説明している。
具体的には、
・広告宣伝に関する全国的な指針の策定
・ぱちんこへの依存問題の発生の抑止につながる知識の普及啓発の推進
・自己申告プログラムの周知徹底、本人同意のない家族申告による入店制限の導入等の推進
・18歳未満の可能性があると認められる者に対する身分証明書による年齢確認の原則化
・ ぱちんこ営業所の ATM 及びデビットカードシステムの撤去等の推進
・出玉規制を強化した新規則機の普及の推進
・自助グループをはじめとする民間団体等に対する経済的支援
・安心パチンコ・パチスロアドバイザーによる依存防止対策の強化
・一般社団法人遊技産業健全化推進機構による依存防止対策の立入検査
等の取組が掲げられているところです。
この点については警察側はかなり強い口調で要望している。
ぱちんこ営業者が依存防止に係る責務を負う中で、各種依存防止対策が実行に移されるかが、業界として問われることとなるわけです。
こうしたことを見ても、行政の中でも監督官庁である「警察庁」の指導に従って、パチンコ業界が事業を行っていることが分かる。
一方、緊急事態宣言の発令によって各都道府県知事はパチンコ店に対して、強制力はないものの「休業要請」ができるようになった。
それが大阪府を皮切りにして他の自治体にも広がりつつある。
そのことをパチンコ業界ニュースは次のように伝えている。
すでに7都府県以外でも感染が拡大しており、国はかねてより愛知県や京都府などから「緊急事態宣言の対象地区に加えてほしい」との要請を受けていた。こうした事態を踏まえ、総理は専門家でつくる諮問委員会に諮ったうえで全国各地に感染が拡大する状況に歯止めをかける必要があると判断し、14日、政府の対策本部で正式に決めた。
これにより、特措法施行令で「遊技場」と定められているパチンコ店も、各道府県知事が「休業要請」できることになる。すでに東京都・神奈川県では11日から、埼玉県では13日、千葉県・大阪府・福岡県では14日、兵庫県でも15日より、パチンコ店にも休業要請が出されている。
一部報道では、緊急事態宣言の対象になっていない茨城県のパチンコ店駐車場に、千葉県内や東京都内ナンバーの車が駐車された映像も報じられており、今回の対象地区拡大で全国的にパチンコ店の休業要請がなされる見込みは大きくなった。
また遊技機では、遊タイム初搭載機「Pフィーバー真花月2 夜桜バージョン」(SANKYO)や、番長シリーズ最新作の「押忍!サラリーマン番長2」(大都技研)など4月19日納品、20日開店予定の新台もあり、既に変更承認申請書の届け出を済ませているホールも。全国で休業要請が出た場合、こうした遊技機の納期変更の検討や申請書の手続きなど、全国各地のホールが対応に追われる事となりそうだ。
だが、吉村知事の休業要請は応じないパチンコ業者がいるということは、知事の要請には実効性がないということだ。
国の緊急事態宣言→都道府県知事による休業要請となっていて、一応、国のお墨付きを背景にした休業要請だったはずなのに。
なぜ言うことを聞かないのだろう?
先の『PiDEA』の記事にパチンコ業界の今後を心配する次の文章を見つけたとき、疑問が氷解した。
局面は刻一刻と変化している。パチンコ業界の不安はこの先、
警察庁からの営業自粛要請が来るのか
ということだろう。
警察庁だ。
警察庁からの「営業自粛要請」が来ることを怖がっている。
パチンコ業界は監督官庁である警察庁の言うことは素直に聞く。
それなのに今回は機能していない感じなのだ。
警察庁は実は積極的に休業要請に動いていないのではないか。
パチンコ業界には警察のOBも一定数が天下りしている。
OBが天下りしている先だから警察庁の姿勢が甘い、などという陰謀論に与するつもりはない。
しかし、はっきりしていることは警察庁がもっと本腰を入れればパチンコ業者も本気になって休業するはずではないのか。
吉村知事も小池知事も本気で感染拡大を防ぐためにパチンコ店を休業させたいと本気で考えているのなら、警察庁を動かすことを考えるべきだろう。
警察庁がまだ本気で積極的に働いていないのではないか。
もちろん安倍首相が常套句のように口にする「政府一丸となって」と取り組んではいるのかもしれない。
だが、こういう状況でパチンコ業界に効き目があるのは「日本政府」という主語ではなく「警察庁」という主語だ。
その名称はきちんと使われているのだろうか?
"全国ニュース" - Google ニュース
April 26, 2020 at 03:32AM
https://ift.tt/3bPFNXe
吉村・小池知事が休業要請したのに「パチンコ店が今日も営業する」のは警察庁が動かないから?(水島宏明) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
"全国ニュース" - Google ニュース
https://ift.tt/2FHh5tP
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update
Bagikan Berita Ini
0 Response to "吉村・小池知事が休業要請したのに「パチンコ店が今日も営業する」のは警察庁が動かないから?(水島宏明) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース"
Post a Comment