証券会社を経て、仮想通貨取引所でトレーディング業務に従事した後、現在は独立して仮想通貨取引プラットフォームのアドバイザリーや、コンテンツ提供事業を運営する中島翔のコラムを公開します。
目次
- 移動平均線とは?
- 移動平均線の基本的な見方、使い方
- 移動平均線でトレードする方法
3-1. 移動平均線の方向に逆らわない
3-2. ゴールデンクロスとデッドクロスに従う
3-3. 移動平均線に戻るタイミングでエントリーする
3-4. ルールに従って損切りを行う - トレードで大事なのは知識よりもメンタルコントロール
投資の世界において、仮想通貨は比較的新しい資産クラスです。仮想通貨で初めて投資にチャレンジするという方も少なくなく、プロから見てもかなり難しい商品を初心者がトレードしているのが現状です。
投資の世界で生きてきたトレーダーにとっても、仮想通貨は生き物のように予測し難く、一体どんなものなのか?体系立てて分析しきれていない市場です。
しかし、投資の世界には一つの共通点があります。それは「チャート」です。値動きのあるものは全てチャートに表すことができ、価格変動の一つ一つが商品に対する投資家の思惑が反映されているものと言えます。チャートはまさに「人間の感情のグラフ化」とも言えるでしょう。
ここでは、初心者が最初に覚えて頂きたいチャート分析である、移動平均線を利用したトレード方法について解説したいと思います。
①移動平均線とは?
まず最初に移動平均線とは何か簡単にコメントしたいと思います。
移動平均線は、一定期間の平均価格を1本のラインで繋げ、日々の値動きを滑らかにすることで、トレンドの向きや強さを見るためのテクニカルチャートです。テクニカル分析の中で一番有名で基本的な分析手法なので、これを知らずしてテクニカル分析はできないません。
移動平均線には単純移動平均、加重移動平均、指数平滑移動平均など計算方法によって様々な種類がありますが、基本となる単純移動平均を例に説明します。
単純移動平均線(SMA,Simple Moving Average)は、所定の期間の終値の平均値を線でつないだものです。
例えば下記のチャートで示している50日単純移動平均線(50SMA)は、当日を含めた過去50日間の終値の平均値を1日ごとに計算しながら1本につないだ線です。
つまり値動きの方向性が視覚的に理解しやすくなっています。次に移動平均線の基本的な見方を解説したいと思います。
②移動平均線の基本的な見方、使い方
移動平均線は基本的に2本を1セットとして分析に利用することが多いです。代表例としては、短期移動平均線と中期移動平均線の2本を利用してトレンドの強さを判断する「ゴールデンクロス」や「デッドクロス」があります。
それでは実際のビットコインチャートを見てみましょう。下図はゴールデンクロスのチャートです。
赤い丸印で25日単純移動平均線が50日単純移動平均線を超えて推移しているのがわかると思います。当然、計算日数が小さい移動平均線の方が現在の値動きに敏感に反応します。ここでは、短期的な上向きのトレンドが強まっていると見て、「上昇トレンドに入るかもしれない」と判断するのがセオリーです。
次に「デッドクロス」について見てみましょう。
2019年9月頃(赤丸)、25日単純移動平均線が50日単純移動平均線を下回っています。このような動きを「デッドクロス」と呼びます。
この動きは「下落方向のトレンドが強まっている」ことを意味します。つまり、ここでは無理に上昇方向にポジションを取ることはせず、下目線でトレードを行う方が得策ということです。
それでは、基本的な見方を理解して頂いたところで、移動平均線をトレードに活用する方法を解説します。
③移動平均線でトレードする方法
大前提として、「移動平均線のみ」でトレードする事はあまりありません。あくまでも初心者向けにシンプルにした方法です。しかし、これだけでも十分にトレードできます。大切なのは複雑な分析をすることではなく、「自分自身のルールを定めて、遵守すること」です。この言葉を念頭に置いて読み進めるようにしてください。
3-1. 移動平均線の方向に逆らわない
最初に大事なのは「移動平均線の方向性に逸脱するようなトレードは行わない」ということです。移動平均線は最初に説明した通り「トレンドの方向性や強さを表すもの」です。方向性を示しているのに、逆らってトレードする必要はありません。このことは基本的なルールとして覚えてください。
3-2. ゴールデンクロスとデッドクロスに従う
ゴールデンクロスとデッドクロスの方向性に逆らわないことにも注意してください。根拠もなく逆張りすることは止めましょう。下図はゴールデンクロスを確認した後、流れに乗って上手くトレードできた事例です。
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最初の赤丸でゴールデンクロスを確認できます。しかし、ここで焦ってポジションを取る必要はありません。2つ目の赤丸で、再び25日単純移動平均線まで価格が戻っているので、ここで「ロングポジション」でエントリーしましょう。
このロングポジションをしばらく持ち続け、チェックマークの位置で利益確定します。なぜなら、それまで割ることのなかった50日単純移動平均線をここで割っているからです。上昇トレンドが弱まっている証拠であり、ある程度利益も出ているため、ここで一旦利益確定するのがベターと考えます。
トレンドが継続し始めると場合によっては半年以上継続することもあります。トレンドが出たときに買いを入れ、ルールを決めて利確することで、大きなリターンを得られる場合があります。長期で現物を保有できる方は特に意識するようにしましょう。
3-3. 移動平均線に戻るタイミングでエントリーする
次に移動平均線を活用して「どこでエントリーをするのか」を判断する方法を解説します。以下のチャートをご覧ください。
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4つの赤丸は下落が止まっている位置を指しています。よく見ると、綺麗に25日単純移動平均線で反発しているのがわかると思います。このように移動平均線の位置まで戻ったタイミングは、エントリーポイントと判断できます。
仮にゴールデンクロス後に大きく上昇している時期にロングでエントリーしてしまった場合、目線の方向性は合っていてもリスクの高いポジションになります。方向性を判断しても安易にエントリーせず、25日移動平均線まで戻ったところでエントリーすることで、予測が外れた場合に損失を抑えることができます。リスクリワード(損益バランス)が適切かどうか、しっかりと判断しましょう。エントリーまで我慢すること、ルール通りトレードすることが大切です。
3-4. ルールに従って損切りを行う
最後のルールは、決めた位置できっちりと損切りを行うことです。以下の「デッドクロス」のチャートをご覧ください。
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赤丸の位置では、デッドクロスになっており、価格は上昇して25日移動平均線に近づいています。ここでショートでエントリーするプランがありますが、その後なかなか下落せずに反発を繰り返しています。この場合、プランは誤っていたと判断して、指マークの位置で損切りすることがベターと言えます。なぜなら、ここでゴールデンクロスしているため、トレンドが変わったと判断できるからです。
含み損を抱えている場合、人はなぜか都合の良い希望を抱きがちです。「いつか戻ってくる」と思って放置していたら、×マークの位置から30%以上損失が膨らんでいた可能性があります。損切りの大切さがわかると思います。
「損切りは早く、利食いはゆっくりと」。この言葉は頭に叩き込んでおきましょう。
④トレードで大事なのは知識よりもメンタルコントロール
実際のところ、株式市場では8割の個人投資家が負けていると言われています。多くは、メンタルコントロールが出来ていないことが原因です。
裏を返せば、メンタルコントロールが出来れば初心者でもトータルで利益を上げることはそこまで難しくないと言えるでしょう。
「ルール通りやればいいだけではないか?」と簡単に感じる人もいると思います。しかし、「自分の大切な資産の10%の含み損を抱えているとき、即座に諦められるか?」と考えれば、その難しさが理解できるかもしれません。
少額でもよいので、まずはやってみることがとても重要です。実際に身銭を切ってみると、その難しさに共感頂けると思います。移動平均線を含め、Hedge Guideの様々なトレード方法の記事を読みながら、基本的な取り組み方を身に着けて貰えると嬉しく思います。トレードの最大の敵は「自分自身」です。自分に負けないよう心がけましょう。
今回の記事でご紹介したチャートはbitFlyer Lightningの「CryptoWatch」と「LightChart」を利用しています。bitFlyerで口座開設して、移動平均線を利用したトレードにトライしてみてください。
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中島 翔
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May 12, 2020 at 08:11AM
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