新型コロナウイルスの感染を防ごうと、外出先で手指に消毒液を付けたり、身の回りの物の消毒に気を使い始めたりした人は多い。半面「手荒れが心配」「本当に効き目があるのか分からない」など、使う側には戸惑いの声もある。どんなときに消毒すればいいのか。市販品を利用するときのポイントは。「新型コロナに対する効果」の観点から、浜松医療センター感染症内科の矢野邦夫部長に助言を求めた。
手指、高濃度アルコール有効 手洗いとどちらかにしよう
新型コロナウイルスは、目、口、鼻の粘膜から侵入する。手指にウイルスが付いたまま粘膜に触れて感染するのを防ぐには、手指を清潔にしておくことが欠かせない。 手指から新型コロナを除去できるのは、せっけんを使った手洗いと、アルコール消毒だけ。ただし、両方は必要ない。矢野部長は「手が荒れるので、どちらか片方にしよう」と注意を促す。せっけんよりも、保湿剤入りのアルコールの方が手荒れがしにくい。「手が明らかに汚れていなければ、即効性のあるアルコールを使うといい」 手指に使えるアルコールは2種類ある。エタノールとイソプロパノールだ。保湿剤入り商品を選ぶときのポイントは、アルコールの濃度。矢野部長によると、新型コロナ対策として有効性が認められているのは、60～95％のエタノール。50～70％のイソプロパノールも効果があるとされるが、より殺菌力が強いエタノールを勧める。濃度の確かなアルコール成分が入っていない商品は避ける。 手洗いや消毒のタイミングは、「帰宅したら手洗いするなど、自宅では普段通りで十分。外出時はアルコールを携帯し、つり革やドアノブなどに触ったら、自分の顔を触る前に手指を消毒する。特に高齢者や妊婦、持病のある人は頻繁に使って」と呼び掛ける。アルコールにアレルギーのある人は、手洗いを。夜はハンドクリームを塗って寝たり、皮膚が荒れたら手袋をしたりと、「ケアも忘れないで」
ウイルスの膜「エンベロープ」除去 せっけんをたっぷり泡立てるのがポイント
県立大薬学部の菅敏幸教授によると、新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスと同様に、「エンベロープ」と呼ばれる膜を持つ。脂っぽく、人の肌にくっつきやすい。せっけんに含まれる界面活性剤は、水分と油分を混ぜ合わせる作用がある。手指の油分とともにエンベロープも包み込んで洗い流す。せっけんをたっぷり泡立て、作用を十分に引き出すことで、効率よくウイルスを除去できる。
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July 12, 2020 at 04:10PM
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