感染拡大がとまらない新型コロナウイルス。
4月7日に「緊急事態宣言」が出され、16日に対象地域が全国に拡大されたが、感染の勢いは弱まる気配がない。
この状況の中、テレビ各局はドラマやバラエティ番組の制作を止めている。
今は撮り貯めた新作でしのいでいるが、やがては再放送や過去映像の再編集ばかりになりかねない。
この窮状を打開する一策として、ローカルニュースをGP帯(夜7~11時)で放送する手があると筆者は考える。
「緊急事態宣言」関連のニュースが、各地でどう見られたかを検証し、これまで良い時間帯で放送されることのなかったローカルニュースにどんな可能性があるのかを考えてみた。
NHKひとり勝ちというが・・・
政府は16日夜、「緊急事態宣言」の対象地域を全国に拡大することを決めた。
この日の夜の報道では、NHKが『ニュース7』を拡大したため、G帯(夜7~10)の世帯視聴率が16.2%となり、他局に大差をつけた。
NHKのニュースに国民の大きな関心が集まっているように見える。
しかしチョッと待って欲しい。
このデータはあくまで関東地区のもので、全国の生活者が一様にNHKを最も見ていたとは限らない。
4月7日に7都道府県を対象に「緊急事態宣言」が発出された際の47都道府県での見られ方を分析すると、東京での現象が他の地域に当てはまるとは限らないことが証明できる。
まず当日のビデオリサーチ関東地区2700世帯の世帯視聴率では、NHK『ニュース7』(7時~7時30分)が26.3%で、2位以下に2倍以上の差を付けた。
ところが全国約170万台のインターネット接続テレビの視聴動向を調べるインテージ「Media Gauge」の接触率でみると、47都道府県のすべてでNHKのニュースが圧勝しているわけではない。
NHKの全国ニュースが1位だったのは、23都県と約半数のエリア。
またNHKのニュースでも、兵庫や大分のように、ローカル枠『ニュース845』がトップだったところもある。
民放では日テレ系列が強かった。
全国ニュースがトップとなったのは8道県。ローカルが気を吐いたのは11県に及ぶ。
他にも『FNN特報』でフジテレビ系列が2県をとった。
民放ローカルニュースがトップとなった2府8県の中で、特筆すべきは福岡だ。
テレビ朝日系列が唯一トップとなったエリアだが、4月7日夜に各局が放送した特番などをおさえ、翌朝の『アサデス。』が最もよく見られた。
良く見られるニュース番組は、地域によってかくもバラバラなのである。
地方ごとの特徴
北海道ではNHKが低迷した。
東京であれだけ強かった『ニュース7』も、接触率は『news every.特別版』の半分ほどに過ぎなかった。
東北でもNHKが強い印象があるが、実は日テレ系列が頑張った。
青森では、青森放送の『RABニュースレーダー』が20.2%で1位。やはりNHKに倍近い差をつけた。しかも夕方6時台のローカルニュースが、7時台のNHK全国ニュースを圧倒したのである。
関東では、「緊急事態宣言」の対象となった東京・神奈川・千葉・埼玉でこそ『ニュース7』がトップだった。
ところが北関東では夕方の『news every.』が上回った。通勤時間の長短の問題か、地方ではテレビを見る人が夕方早くから増えているのかも知れない。
近畿地方は極端にローカルニュースが強い。
2府5県中なんと5エリアまで、ローカルニュースがトップをおさえた。東京と一線を画す関西の面目躍如というところだろうか。
四国でも、4県中3エリアで民放ローカルが首位となった。
やはり東京と地方では、ニュース価値が大きく異なることがわかる。
例えば九州では、一転してフジテレ系列のニュースが強い。
特に沖縄では、1~4位の全てを沖縄テレビ(フジ系)が独占した。文化や人々の気分が大きく異なるようだ。
さらに注目すべきは福岡。
4月7日の「緊急事態宣言」にかかわる報道でランキングしたが、翌8日朝のニュースがトップとなった。九州朝日放送の『アサデス。』(朝6~8時)だ。全国のローカル枠の中で、最も良く見られるニュース枠の一だ。
九州朝日放送がダントツに強い局として君臨している。
実は朝のローカルニュース枠で、他の時間帯の番宣を行うため、全国放送の番組が並ぶ夜帯でも、高い視聴率をとっているとのことだ。
日テレ系が唯一勝てないエリアとなっている。
あなた(ローカル)の番です!
以上のようにNHKの全国ニュースは、首都圏を除けば必ずしも一番見られているわけではない。
関西や四国が典型的なように、地域の事情を踏まえた切り口のニュースが、思った以上によく見られているのが現実だ。
場合のよっては、福岡の九州朝日放送のように、ライバルのいない時間帯でローカルニュースを放送すると、高い視聴率につながり、他の時間帯の番組にもプラスの波及効果をもたらすことがある。
冒頭で述べたように、コロナ禍でテレビは今、新作の番組を用意できなくなっている。
一方、未曾有の国難に際して、テレビのHUTは大きく上昇し、報道・情報番組へのニーズが高まっている。
そうであるなら、報道・情報番組の枠拡大をはかり、その中にあえてローカルニュースを置く手はないだろうか。
基本的に報道の真空地帯が望ましいとするなら、夜7時30分から9時の間だろう。
地方の生活スタイルを配慮すると、やはり遅くない時間帯が望ましい。
今は朝のニュース、8時からの情報番組、夕方のニュース、そして深夜11時台と、複数の局が報道・情報番組で激突する時間帯が多い。
しかしこれは、視聴者から見れば「見る番組がない」と、地上波テレビ離れの要因になっている。
例えば5~6時台は、テレビ東京を除くと、5局がニュースだ。
若年層にはつまらない時間帯だが、コロナ禍で再放送や再編集を増やすのなら、こういう時間帯で放送すれば若者開拓につながりやすい。
そして7~8時で、どの局もやらないニュース・情報番組を置き、そこにローカルの視点で世相をきる番組を放送したら、九州朝日放送の『アサデス。』のように、ライバル不在の中で注目されるのではないだろうか。
大災害や重大な感染症は、人類の考え方や社会システムの見直しを迫ってきた。
今回の未曾有の国難は、テレビ局の今後のあり方へも改善を迫っている。
時代と視聴者ニーズの変化に対応し、これまでは脇に追いやられていたローカル視点の報道・情報番組を考えてみては如何だろうか。
コロナ禍を奇貨として、テレビと日本社会の多様性が増すことを願ってやまない。
※本稿は次世代メディア研究所オンラインフォーラム(JOF)の第3回アジェンダの概略版です。
元の記事(5841字)と全国47都道府県の詳細なデータは、JOFにて購読可能です。
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April 19, 2020 at 01:48PM
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