「緊急事態宣言」が5月6日に解除されるのか延長されるのかどうか全国民が注目している。
現在、政府内では5月末まで延長する案が有力だと各メディアが伝えている。
筆者はその際に参考にすべきは北海道のケースだと考える。
その理由は以下の通りだ。
北海道は全国の自治体に先駆けて独自の「緊急事態宣言」を出した。
不要不急の外出自粛を呼びかけるなどで一定の効果が見られた。そしていったん解除した。
その後、いま感染拡大の第2波の襲来に見舞われている。
もちろん法律に基づいた政府の緊急事態宣言とそうした裏づけのない北海道のそれとは違いはある。
とはいえ、解除のタイミングと第2波の襲来を考える上で大きな参考になるはずだ。
緊急事態宣言の解除のタイミングを間違えると全国的な感染拡大につながりかねない。
北海道の「第2波」襲来をめぐる最近の報道を見てみよう。
北海道の地元紙である北海道新聞は、さすがにこの第2波の報道についてたびたび伝えている。
北海道新聞は、地元が「第2波」にさらされているせいか「第2波」をめぐる外電も敏感に伝えている。外電というのは外国の事情を伝える通信社が配信する国際ニュースのことを指す。
ドイツでの規制の緩和と「第2波」のリスクについて伝える共同通信の配信を記事にしている。
他方で、全国紙の報道は北海道新聞ほどに「第2波」への敏感さがうかがえない印象だ。
放送局もNHKも含めてこの点に注目した報道はあまり見当たらない。
4月30日(火)のテレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』が北海道、とりわけ「第2波」が襲っている札幌市について、新たな感染者の推移グラフを作成して伝えていた。
最近はどのテレビ局やどの新聞社の記事でも毎日見るようになった東京都のグラフの「札幌市版」である。
記事の冒頭に掲載したのは番組内で放送したこのグラフだ。
この推移グラフは「緊急事態宣言」とその「宣言の解除」、さらに「感染者の増加」の関係がよくわかる。
札幌市は4月に入って感染者の数が急増している。
前日4月29日、札幌では過去最多に並ぶ26人の感染が確認されている。
4月25日、27日も同じ26人の感染が見つかっている。
2月28日、北海道は法的根拠を基づかない北海道独自の「緊急事態宣言」。
このときの札幌の新規感染者はまだ1日5人にも届いていない。
これによって3月前半上昇傾向だった感染者数は後半になって減り、いったんは落ち着いたように見えた。
4月7日、政府が7都道府県を対象に「緊急事態宣言」を出すが、北海道は含まれず。
このことが影響したのか、札幌市の感染者は急激な上昇カーブを描き出す。
4月に入ってから札幌市の感染者数は増加の一途をたどっている。
4月11日には初めて新たな感染者が10人を超えている。
4月12日、北海道と札幌市が緊急共同宣言を発表。
しかし1日10人前後だった新規感染者はコンスタントに10人を超えるようになり、さらに数日で20人を超えるようになっていく。
4月16日、政府は「緊急事態宣言」を北海道を含む全国に拡大。
番組は秋元克宏札幌市長のコメントを紹介した。
(秋元克宏札幌市長=おととい)
「第2波が非常に大きな波になっている。
東京での感染状況が2週間ずれた状況で札幌、北海道に現れている」
番組で他のメディア報道を引用して、いま札幌で感染者が増えている要因の一つを次のようにまとめている。
要因(1)目立つ夜の外出
3月27日(金)すすきの駅付近の滞在人数
前日比16%増
札幌市は4月前半の感染者の約4割が「夜間の外食など」の行動歴あり
(29日 産経新聞)
出典をインターネットで調べてみると放送での日付とは1日違っていたが、4月28日の産経新聞だ。
要因(2)首都圏などからの流入?
4月7日~数日間
ほぼ連日のように「東京滞在歴のある感染者」が新たに確認(札幌市)
(29日 産経新聞)
この情報の出典もネットで探してみると、同じ4月28日の産経新聞のようだ。
番組ではここでも秋元札幌市長のコメントを引用している。
(秋元克宏札幌市長=おととい)
「(第2波は)首都圏などで発生が広がってきた状況で、移動された方から感染した可能性が非常に大きい」
『モーニングショー』のスタッフが発見したように、北海道発の産経新聞の記事などにもっと注目する必要がある。
あるいは秋元札幌市長が記者会見で何を発言したのかにも目を配っていくべきだろう。
残念ながら首都圏でテレビニュースや新聞記事を見ていると、日々、登場しているのは安倍首相、東京都知事、あるいは大阪府知事ぐらいで札幌市長のコメントなどはほとんど報道されていない。
緊急事態宣言が5月6日で解除されるのか、あるいは延長されるのか。またその場合の対象地域はどうなるのか。
それを私たちが判断していくためにも、北海道の教訓をきちんと踏まえているのかをチェックしていく必要がありそうだ。
緊急事態宣言で「自粛要請」をしても、その効果を見ることができるのは実際には2週間以上も後になってからの感染者数の上でだ。
また北海道のグラフを見ても、いったん上昇カーブに転じてしまったら、後から「緊急宣言」をしても効果が限定的なことが分かる。
大手メディアは単に政府や専門家会議の発表などを伝えるだめでなく、北海道の教訓をもっと分析した上で検証報道にもっと力を入れてほしいと思う。
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April 30, 2020 at 10:49AM
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