Search

核ごみ最終処分場 選定の方法から再検討を | 社説 | コラム - 熊本日日新聞

 原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡り、北海道の2町村が適地選びの第1段階となる「文献調査」に相次いで手を挙げた。停滞していた議論が動きだす可能性が出てきた。

 既に大量の使用済み燃料があり、いつまでも放置していい問題でない。しかし、現在の処分地選定の方法は、開かれた形での熟議を経て、科学的に最もふさわしいと考えられる処分方法と処分地を決めるものには程遠い。エネルギー政策における原発の将来像を含め、国民共通の問題として見直しを図るべきだ。

 調査の受け入れを表明したのは北海道寿都[すっつ]町と、同町から北に約40キロ離れた神恵内[かもえない]村。いずれも北海道電力の泊原発に近い立地で、過疎化や主要産業の衰退に悩む小さな自治体だ。9日には寿都町の片岡春雄町長が処分事業を担う東京の原子力発電環境整備機構(NUMO)を訪れ、文献調査の応募書類を提出した。

 調査では、処分場の適地を示した「科学的特性マップ」の作成に用いられた火山や断層に関する全国規模の資料やデータなどで、不適切な場所がないかを確認する。ただ、このマップ自体も急ごしらえで、示された候補適地も科学的根拠に乏しいとの指摘がある。

 核のごみは強い放射線を長期間出し続け、放射能が十分に安全なレベルに下がるまでには数万年を要すると言われている。地震が多発する国内で、それだけの長期間、安全に保管できるのか、不安に思う住民は少なくないだろう。

 さらに、使用済み燃料の保管は、ウランやプルトニウムを取り出す核燃料サイクルへの利用を前提としている。国策でもある核燃料サイクルは「既に破綻している」との批判もある。保管する廃棄物は果たして計画通り再処理できるのかも、明確に示す必要がある。

 調査を受け入れた自治体には、国から2年間で最大20億円の交付金が出る。その後の調査に進めば、交付額はさらに跳ね上がる。

 財政難に悩む地方自治体が、高額な交付金に将来への活路を見いだそうという気持ちを抱くこと自体は責められない。ただ、北海道の鈴木直道知事も指摘する「札束でほおをたたくようなやり方」は根本から改めるべきではないか。

 国の原子力委員会から適地選定の在り方について審議依頼を受けた日本学術会議も、2012年に発表した報告書の中で「限られたステークホルダー(利害関係者)の間での合意を軸に合意形成を進め、これに当該地域への経済的な支援を組み合わせるといった手法は、かえって問題解決過程を紛糾させ、行き詰まりを生む結果になる」と警告している。

 寿都町の片岡町長は応募にかじを切った理由を問われ「肌感覚で賛成が多い」と答えた。周辺市町村にも影響する問題で、こうした勢い任せの判断がまかり通れば、調査に不安を感じる住民の不信感も増す一方だろう。

Let's block ads! (Why?)



"方法" - Google ニュース
October 10, 2020 at 05:29AM
https://ift.tt/3nwRybw

核ごみ最終処分場 選定の方法から再検討を | 社説 | コラム - 熊本日日新聞
"方法" - Google ニュース
https://ift.tt/2TbbX9b
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

Bagikan Berita Ini

0 Response to "核ごみ最終処分場 選定の方法から再検討を | 社説 | コラム - 熊本日日新聞"

Post a Comment

Powered by Blogger.